こんにちはオオ氏です。
右足の痛みが改善してきた患者さんの話です。
坂道を歩いたり、
普通に歩いているだけで右足関節(足首)が「痛い」とのことでした。
原因が足首ではなく、腹膜と上部体幹に存在していました。
足首が痛いのに
足だけ施術してもなかなか改善していない方は参考にしてみてください。
必ずしも右足の痛みが腹膜と上部体幹に存在するというわけではございません。
ここで伝えたいのは、痛みを感じている部位のみを施術しても
変化しない場合がありますよといいたい記事です。
それではまいりましょう。
患者さんの紹介
70代女性
屋外歩行、坂道や段差を移動する際に右足の痛み
食欲減退
比較的アクティブ。同窓会や友達の遊びに積極的に参加。
行った評価と施術
1)足部からの評価
足部から筋膜をとらえ、緊張を追っていくと、
右足関節、下腿骨間膜、右腹膜あたりまで緊張が連なっていました。
2)頭蓋からの評価
頭蓋から緊張を追うと胸椎の5番、6番あたりから緊張がありました。
その胸椎から下部の状態はよくわかりませんでした。
腹膜、上部体幹のバランスが捻じれるようになっているので、
胸椎から下部の状態がわかりにくくなっていたのだと思います。
あと、もっと正確に層触診ができれば、追うことができると思います。
3)腹膜の評価
腰三角から層触診を行い、腹膜を捉えると
緊張はどうやら十二指腸D2まで連なっていました。
4)十二指腸と腹膜のリバランス
十二指腸D2、腹膜の緊張が取れるように
バランスをとっていると、
「あっ右足が動いてます」と患者さん。
右足部がぴくぴくと動いて、その後
右足部の緊張がどんどん緩んでいきます。
ここで時間が来たのでその日の施術終了。
「胸椎の施術が間に合わんやった…もっと時間くれ!!」
と思いましたが、時間が来てしまったのでしょうがない…
5)私なりに感じた体の状態を本人に伝える。
右足が痛いのに、なぜ腹部から施術を行ったのか。
それは足部から膜組織の緊張を追い、
腹部に緊張があったからだと伝えました。
特に、十二指腸と腹膜はこの症状に
大きくかかわっていると思いますと伝えました。
すると患者さんは診察時にDrに言っていない病名を教えてくれました。
「子供の時に先天性胆管嚢腫になっていたんです」と。
総胆管、胆嚢、十二指腸D2について
総胆管は総肝管と胆嚢管が合流することで構成されます。
総肝管は肝臓から始まる左右2本の肝管から構成されます。
胆嚢管は胆嚢から始まります。
総胆管と膵臓から伸びた膵管が合流し、
十二指腸D2につながっていきます。
「先天性胆管嚢腫」の原因としては、
この総胆管と膵管の合流部にあると考えている人もいます。
患者さんは
胆嚢の切除を行ったこと
総胆管の手術も行ったそうです。詳しい術式は覚えていないようでした。
術式はわからずとも、触診をしてみると
十二指腸D2周辺はやや硬くなっており、
オステオパシー病変があると感じました。
そこで、十二指腸D2にコンタクトし、
腹膜と病変部位が緩むようにバランスを取りました。
二回目の来院
3日後に二度目の来院。
「右足の張りは残っていますが、
痛みは減りました。歩くときはもう痛くないです」と患者さん。
胸郭と下部体幹の捻転があったのでリバランスを促し、
前回できなかった、胸椎のリバランスも促すことができました。
胸椎の施術中、
「先生!また右足がぴくぴくしてます!」とのこと。
その後、右足関節の緊張が「スーッ」と緩みました。
仙骨の正中よりやや左側の緊張が高かったので調整しました。
現在の悩みは、階段を降りる際に右足が突っ張る状態を改善したいと
通院を継続されています。
まとめ
今回は、過去に胆嚢や十二指腸周囲のOpe歴があり、腹膜、十二指腸周辺に
強いオステオパシー病変が生じている方のお話をしました。
困っている症状は右足部の疼痛ですが、腹部のリバランスで症状が改善されました。
必ずしも、右足の疼痛が腹部にあるとは言っていません。
大切なのは、症状が生じている部位のみを診るのではなく、
患者さんの身体全体を評価することです。
この患者さんとのセッションを通して
大切な教訓を体験することができました。