こんにちはオオ氏です。
今回は腰痛がとても強く、駐車場から歩いて移動することも出来ないくらいひどい症状だった患者さんが改善した経験について話します。強い腰痛でも改善することがあるということ。レントゲンでもよくわからない腰痛がなぜ生じていたのかということなどについて解説していきます。
来院時の状態
タクシーの運転手。50代男性。
昨日、仕事後、腰痛が悪化。
今朝は起き上がることが困難に。
奥さんに脇を抱えてもらい、車に乗り当院へ。🚙→🏥
車いすから立ち上がるのも辛く、
寝返り動作も辛く、
仰向けに寝ても腰痛が…
レントゲン撮影→骨折なし。
施術前は腰痛の改善を感じ取ってもらいたいので、いろんな動作をしてもらうのですが、起き上がりはさすがにさせなかったです。もう痛いのが想像つきます。
施術と関わり方
仰向けで寝ると痛いので、横向きに寝てもらいました。そして、尾骨から丁寧に一個一個の脊柱を頭蓋骨まで下から上へと触診していきました。
腰椎の３番と２番、胸椎の１１番１０番で強く捻じれたまま、筋膜がフリーズ、ブロックしている状況を感じ取りました。
そこの調整を行うと、患者さんの背骨から頭までポップするような反応が出て、筋膜のフリーズとブロックが解消されました。
その後、仰向けになってもらい、いつものように頭蓋にコンタクト(小脳テントと大脳鎌)してフリーズしている部分をチェックしようとしました。
私：「仰向けになってみましょう」
患者さんの顔が「えーっ」と思いながら寝返りを行ってくれました。
すると
患者さん：「あれ？痛くない！」
起き上がり、立ち上がり、足踏み、歩行も痛くないとのことでした。痛み無く、足が前に出ると喜んで頂けました。
筋膜のフリーズは上半身が左回旋、下半身が右回旋したままの状態で起きていました。
タクシーの運転手は、お客さんと金銭のやり取りをする際に運転席に腰かけたまま左向きに上半身をねじらせて行います。筋膜が何かのはずみでストレスが強く加わりフリーズしたと考えました。本人にもそれを伝えました。
その日の施術は終了しました。
何が起きていたのか
筋膜の特性と今回生じていた現象について解説したいと思います。
筋膜の特性①「筋膜は記憶する」
強い痛みや筋膜への刺激が入り、呼吸が一瞬でも止まってしまうとそのままの形で筋膜は動きにくくなってしまう特性があります。
タクシーの運転手はお客さんに釣銭を渡す際の形のまま筋膜がフリーズしている状態でした。
本来であれば、身体が捻じれた状態でゆっくりと、リラックスした状態で過ごしてもらえば、自然と筋膜が緩む反応が出ますが、そのリラックスした体勢を取ることなく背筋をまっすぐ伸ばしたまま過ごそうとし続けたので、「痛み」や「動きにくさ」などの機能障害につながっていきました。
筋膜の特性②「エネルギーのブロックを解消すると自然と治癒力が出る」
丁寧に触診を行う。
そして、エネルギーが滞っている感覚、硬く固着しているような感触がある部位のバランスを取り直すようにセラピストが手伝う。
もしくは周辺組織を緩めたりする。そのまま放置するように待ち続けると解放(リリース)する反応が出てきます。
患者さんの呼吸が深くなり、自然と以前のような正常な機能、動きに近づいていきます。
今回、エネルギーが滞り、硬く固着していた部位は、
腰椎の３番と２番、
胸椎の１１番１０番でした。
それらの椎体と周辺組織の緊張が緩むようにバランスを取り、自然と反応が出るまで待ち続けると、患者さんの機能障害が改善に向かいました。
機能障害と近代西洋医学
膜の機能障害は残念ながらレントゲン所見ではわかりにくいです。
患者さんの話を聞いたり、丁寧に触診や観察を行うことでわかりやすくなります。
現在の医学では昔の先生のように丁寧に患者さんの身体に手を触れる機会が減りました。ゆっくりと患者さんの話を聞く時間も少なくなりました。
近代西洋医学は多くの命を救ってきたと思います。交通事故、出血、脳血管障害、心筋梗塞など目の前で失われゆく命に対しては結果を残してきた医学であります。
しかし、慢性的な症状や不定愁訴、画像でははっきりと映らない患者さんの苦悩に対しては近代西洋医学は対応しにくいと思います。
筋膜は痛めた体勢のまま放置することで自然と症状が治まります。
丁寧に触診すれば問題は見えやすくなります。
レントゲンなどの静止画像では機能障害を捉えることが難しいです。
丁寧に患者さんを診ていけば、少しの変化が出やすくなる。車いすに乗らないといけないほど痛かった症状はちゃんと変化していきます。もしひどい腰痛で病院でも原因がわからない方は今回の話が少しでも参考になったのであれば幸いです。
